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最新のホテル客室事情~ベッドの下の男

  • 執筆者の写真: 中山 晴史
    中山 晴史
  • 5月2日
  • 読了時間: 3分

更新日:5 日前




先日、外国人女性が宿泊中のビジネスホテルの客室ベッド下で不審な男が発見されたというニュースに対し、様々な意見が寄せられています。一部には事実誤認も見受けられるため、ホテル運営の実情を踏まえ、正確な情報を提供させていただきます。


1. ベッド下の構造について

「ベッドの下に人が入れるはずがない」という指摘は誤りです。特に、11㎡前後のコンパクトなシングルルームにおいては、限られたスペースを有効活用するため、ベッド下がスーツケース等の収納スペースとして設計されているケースが多く見られます。そのため、物理的に人が侵入できる空間が存在します。


2. 不審者の侵入経路について(推測)

侵入経路については推測の域を出ませんが、客室清掃時の可能性が考えられます。報道によれば、当該女性は3泊の滞在予定の2日目であり、客室清掃は「ステイメイク」と呼ばれる、連泊客の部屋に対する清掃です。チェックアウト後の清掃とは異なり、清掃作業中、清掃担当者がリネン類やアメニティを客室外に取りに行く際、頻繁なドアの開閉を避けるため、本来は不適切なオペレーションではありますが、ドアストッパーを使用する事例が散見されます。この状況下では、わずかな時間でも第三者が容易に室内へ侵入することが可能となり、今回の事案に繋がった可能性は否定できません。


3. ホテルのセキュリティ体制について

エントランスやエレベーターにセキュリティシステムが導入されていても、他の宿泊客と同時にエレベーターを利用するなど、意図せず侵入を許してしまうケースは起こり得ます。それでも、エントランス(夜間など)やエレベーターにセキュリティがかかっていることは、古いタイプのホテルなどとは安全面での配慮が各段に違います。また、カードキーの普及によりフロントに鍵を預けることも少なくなったので、鍵の受け渡しにおける取違いもなく、安全面の向上に寄与していると思います。


私自身の経験として、総支配人時代に、滞在中の宿泊客から室内に置いていた高級腕時計(ロレックス)が盗難されたとの申告を受けたことがあります。調査の結果、清掃時に客室のドアを開放したまま作業していたことが判明しました。清掃中に宿泊客が部屋に戻り、このオペレーションに気づいた可能性も考慮し、腕時計の箱や購入証明書の提示をお願いしましたが、最終的にはホテル側が弁償せざるを得ない事態となりました。


インバウンドのお客様が増加しているからというわけではありませんが、「ステイメイク」時の客室管理はこれまで以上に注意が必要であり、ドアを開放したままの清掃は断じて禁止すべきです。私がホテルニューオータニで客室清掃の基礎を学んだ際にも、ステイメイク時の客室への出入りの際には必ずドアを閉めるよう徹底的に指導されました。今回の事案を教訓に、ホテル業界全体として、より一層のセキュリティ意識の向上と、確実なオペレーションの徹底が求められます。

 

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