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宿泊業界へのいじめ問題

  • 晴史 中山
  • 11月21日
  • 読了時間: 4分

今年はご存知のように「7月5日」問題で我々の業界は大きなダメージを受けました。一般の方はニュースなどで報じられても、漫画の話がそんなに影響があるのかと思われていたようですし、実際に私の友人にもその問題自体を知らない人もおりました。結果的には7月5日には何も起きず、すぐさま、メディアも一般の方々もこの問題はお忘れになり、確かに一般の方への実質的な影響はなかったわけですから、致し方ない面もあります。 しかしながら、7月5日に何もなかったからといえ、いきなり6日から予約が増えるわけでもなく、おそらく多くの温泉旅館などではお盆までは苦しい時期を過ごしたことと思いますし、実際に私の知る旅館でも稼働は戻りませんでした。ご本人は何の責任もないということになってしまいますが、漫画の世界の話が実社会に影響を及ぼしてしまったのは事実で、ただ、旅行業界のみという点が我々が忸怩たる思いを抱くところです。その後、お盆にはある程度の回復がありましたが、その後は紅葉の季節までの端境期でもありますが、9月は全般的に営業成績が悪かった施設が多いようです。 インバウンドビジネスが落ち込んだからと言え、それも特に中国や香港・台湾などからの客数が落ち込んだだけで、経営が傾くのか。それはリスクマネージメントとしても依存度が高すぎたからではないかと、よく指摘されます。確かにそういった面もあるとは思いますが、通常、比率を見た時に日本人が50%で、外国人が50%。その外国人の内、70%がアジアからのお客様となるケースが多いようです。その70%のお客様が7月5日問題の影響でゼロになったとしても、日本人が50%いて、残りの外国人が30%程度あれば、足し算をすると80%となり、稼働率としては非常に素晴らしい数値となります。 ただ、もともと、多くの旅館、特に新幹線などのアクセスの良くないエリアでは、年間の平均稼働率が60%程度の施設もあります。もともと、60%の稼働の状態でお客様の数が80%に減れば、大雑把な話ですが、稼働率は48%になり、限りなく損益分岐点に近づくか、分岐点を割ってしまいます。ホテルでも旅館でも常に100%の稼働になることはあり得ないので、この7月5日の影響は施設にとっては非常に大きいものになります。もともと、ゲンを担ぐ傾向の強い中国系のお客様、例えば、部屋番号に8がついていると喜ぶなど、風水などの影響もあったようですが、今年を振り返るにこの話は漫画の世界だけに留まらす、宿泊業界には大きな影を落としました。 その後、高市政権が発足し、外交面などでも順調な滑り出し。支持率も高く、確かにお話も論理的で実践的で、先が楽しみという方も多かったようです。ところが、ところが、この度の「台湾有事」発言。これも、総理としては必要なプロパガンダだったかもしれませんし、やることなすことすべてが順調だったため、調子に乗り過ぎたのかどうかわかりませんが、

こういう発言をすれば中国がどう反応するかは想定できます。すると、日本にとって海産物の中国への輸出であるとか、観光へのインバウンドビジネスの依存度を鑑み、そこを突いて来るのは、「容易に」想像できます。今日、中国の航空会社が減便を発表しました。ただ、半減というわけでもないですが、それでも旅館へのキャンセルの連絡が後を絶ちません。 これは「いじめ」です。一体、我々の業界が高市政権に対して何をしたというのでしょうか。観光立国としてインバウンド6000万人をめざすという方針も政権として反対しているわけでもないでしょうし、何故、我々の業界や水産物業界が苦しむ要素をわざわざ提起したのか。7月5日問題のように6日になったら、いきなり予約で満室になるという性質の業界ではないので、仮に中国と折り合いがついても、すぐに予約は入りません。ポケットに手を突っ込みながら、上から目線で物申されている映像は、旅行業界に身を置く私も非常に不愉快ですが、なにしろ、このままでは宿泊業界は転落の一途を辿ります。 インバウンドだけに依存せず、日本人にももっとマーケティングして稼働を上げるように頑張ってみてはいかがですか、、、などという答弁をするような政府関係者がまだいるわけではありませんが、あまりに発言が短絡的で、外交上、国防上、あるいは初の女性首相の建前として、ああいった強気の発言が必要と本人が考えたのであれば、ほぼアメリカのトップの発言と同レベルであると言わざるを得ないのでしょうか。その後、総理から宿泊業界に対しても、かの発言に対しても答弁がないようですが、外気同様に宿泊業界もどんどん冷え込んでいくのではないかと、危惧しています。

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